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2勝8敗!生活保護基準引き下げ訴訟を考察します

JRの駅前で5人のお年を召された方がビラを撒いていました。受け取る通行人は見当たらず、ハンドマイクで訴える声も途切れがちで何を言っているのかよく分かりません。その黄色いビラを受け取ってみると、生活保護基準引き下げの裁判について書かれていて、そのビラの発色に少し眩暈がします。

この国で生活保護と言えば、高齢者や障害者がほとんどで、だからこの裁判で闘っているのも高齢者や障害者だけになってしまいます。フランスでは若者も生活保護(積極的連帯手当、RSA、エレサ)を堂々と受給しています。失業者はもちろん、芸術家のたまごや俳優、下部リーグのサッカー選手など。

2012年、芸人さんの母親が生活保護を受給している事をバッシングした事件から10年経つのに、未だに鮮明に覚えています。テレビで生中継されていました。あそこまで叩く必要は無かったですし、そもそも法律にも触れていません。いわゆる「不正受給」ではありません。

芸人さんが何千万円稼ごうとも、母親を扶養する義務などありません。稼いでいるのなら多額の税金を納めているので、むしろ財政に貢献しています。その一部が母親に還元されただけの話です。芸人さんにはむしろ表彰状を送るべきです。

さて、2022年5月25日、熊本地裁生活保護引き下げ裁判の判決が出ました。原告勝訴です。「厚労大臣が適切な分析、検討を怠り、引き下げの判断の過程で過誤や欠落があり、大臣の裁量権の逸脱や濫用があったと言わざるを得ない」ということです。大阪と熊本で勝訴、現状2勝8敗です。全国で29都道府県で裁判を起こしていますが、まだまだ争いは続きそうです。

勝手ではありますが、黄色いビラ(いのちのとりで裁判全国アクション)から一部引用します。2013年、2015年、2018年と生活扶助費、住宅扶助費、冬季加算などが引き下げられています。一例を挙げると、2012年から2022年にかけて生活扶助費が約22000円引き下げられています。(子ども2人の母子世帯の場合)

また、生活保護基準は様々な制度に連動しています。だから生活保護受給者以外にも影響があります。住民税非課税や地方税の減免、就学援助などです。

生活保護についてネガティブな意見を垂れ流しているメディアやインターネットには、もっと現実を見つめて欲しいものです。貧困は国の責任で解決すべきです。生活保護についてはその金額だけではなく、その在り方を考える必要があります。生活保護を受ける事がスティグマになることを解消することも大事です。また、低所得者についても公的な扶助をするのもいいでしょう。7月には参院選があるのに、どの政党や候補者も「貧困問題」を取り上げていないのが不思議で仕方がないのです。

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 #生活保護基準引き下げ訴訟