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ブックレビュー「苦しい時は電話して」坂口恭平 「いのっちの電話」が自殺防止に有効な理由

その本の表紙には、携帯電話の番号が表記されています。自殺念慮があれば「いのっちの電話」まで、と坂口恭平さんは言っているのです。何故、そんな危ないことをしているのかと訊ねるのは野暮というものです。自殺者を減らしたい、無くしたいという思いです。

実は私も似たようなことをしていました。坂口さんのように電話番号を公開しているのではなく、うつ病患者の女性が「深夜に死にたくなる時に、いのちの電話に電話しても全く繋がらない」と言うので「だったら僕の携帯に電話して。深夜でもいいから。すぐに電話に出られないときもあるけれど、その時は折り返すから」と伝えて、自己流の「いのちの電話」24時間対応、ただし、一名様限定で約1年間勤めました。引き受けた理由は私も双極性障害自殺念慮を抱えたこともあり、その似たような境遇の人を放っておけなかったのと、相手がかわいい女性だったので、ちょっとした下心もあったのです。

その当時、私はタクシードライバーをしていたので、深夜起きているのです。もちろん、お客さんが乗っている時は出られないので、後で折り返していました。変な話かもしれませんが、電話で会話することで、私自身も救われているように感じました。

「死にたいと感じたら、どんどんそのことを話しあえる世の中になれば」と坂口さんは言います。こんなネガティブなことは、親友でも恋人でも家族でも話せないものです。でも、それが当たり前のことになればいいのです。誰でも死にたい、消えてしまいたいと思うことはあり得るのだから。

「(いのっちの電話は)使命感とかでやってるわけじゃないよ。ただ好きでやってるだけだから」これって大事なことです。そうでないと自分自身が保てないですから。

その上で、坂口さんは次のステップも考えています。元祖「いのちの電話」が対応しきれていないSOSは、坂口さんのような方が366人いれば解決できます。その電話を受ける人の給料など17億円あれば対応できると言うのです。自殺防止の予算としては微々たる金額です。国かスポンサーが本気を出せば出来ることです。

ついでに、「苦しい時は電話して」のAmazonのレビューでは数名の方が、実際に電話したけれど、対応が雑だった、タメ口だったとコメントしています。不謹慎にも笑ってしまったのですが、あなたは生きているじゃないですか。やはり電話して大正解なのですよ。たぶん、元祖「いのちの電話」にはないパワーが坂口さんにはあるのでしょう。私だって、将来自殺念慮が出れば、そのときは「いのっちの電話」を思い出します。

最後に、坂口さんはTwitterで「人助けって、人間の基本的欲求の一つ。性欲とか食欲と一緒」と書いていて、ああ、これかと膝を打ちました。さらに、「人助けのことなんか考えられない、という人が多い社会は、そもそも社会ではない」とあって、「もうすでに日本は社会ではない」と締めくくっていました。いや、日本には坂口恭平さんがいるからまだ希望はありますよ。もちろん、私も人を助けられる人でありたいと強く思います。

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