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ブックレビュー「よみぐすり」坂口恭平 死にたくなったら読もう、そして電話しよう

坂口恭平さんは、「いのっちの電話」というお仕事をしています。いや、収入が発生しないのでボランティアなのでしょうか。とにかく、ご自身の携帯番号を公表して、(よみぐすりの本の帯に書いてあります)「死にたい」人からの電話を受けています。坂口さんはきっと、タフでメンタルの強い、正義感あふれる人なのでしょう。ところが、坂口さんも実は「躁うつ病」らしいのです。私と同じ病気ですね。

私も一昔前ですが、同じような精神疾患をもち、クリニックで知り合った自死念慮がある友人に「24時間、いつ電話をかけてきてもいいから。死にたくなったら電話して」と携帯番号を伝えたことがあります。タクシードライバーだったので深夜も起きているのです。私の「いのちの電話」は、おひとり様限定でしたが、坂口さんの「いのっちの電話」は1日に30件ほどかかってくるそうです。1年で約10000件ですね。とんでもない量で、どうやって捌いているのか想像できません。

「よみぐすり」は坂口さんのツイートを編集者がまとめて本にしたものです。1時間前後で読める本ですが、中身は濃厚で何度も読み返したくなります。それは少々荒っぽい言葉ですが、優しさにもあふれているのです。

例えば、子どもたちへの温かい眼差しです。

「(子どもに)家の鍵渡す前におれの電話番号渡しといてよ。困ったらこの人に電話しなさいと。すべての鍵っ子たちをおれは気にしてる」

「子どもがなんでこんなにも自殺するようになったかを大人はちゃんと考えるべきだ」

「『いのっちの電話』を10年続けてきて一番感じるのが、10代のうちに自立する方法を身につけていたら大抵の問題はクリアできるということ」

「中1の娘のアオは昨日個展で、かなり稼いだのだが、それで一応聞いた。『人生は金だなって思った?』と。『いや、そんなわけじゃないけど、楽しいことは確か』と言った。『ちゃんと自分で稼いで、困っている人がいたらご飯くらいご馳走してあげなさい』と伝えた。アオはうなずいた。我が家はこのスタイルでいく」

「中1の死にたい子から電話きて、『おい、ちょい待て、お前まず会社やれ、おれ初期費用全部出すから』って話になった(笑)。そしたら元気になった(笑)」

日本の子どもたちは、必要以上に重いランドセル背負わされて、学習塾にも通い、受験に挑み、大学とアルバイトをがんばり、社会人になると奨学金を毎月返していくという人生が待っています。多くの人は努力をしてもあまり報われないのです。だったら「報われる」ことをすれば良いのです。中学生に起業をすすめることには賛否はあるでしょうが、そういう選択肢もありますよ、とアドバイスをする大人がいてもいいのです。

坂口さんはきっと、「いのっちの電話」をとても楽しんでいるのです。それが窺えるツイートを最後に紹介します。

「ほんとは死にたいと言っている人の家に行って、掃除をして、お風呂沸かしてあげて、おにぎりと卵焼き作ってあげて、洋服のスタイリングさせてもらって、髪も切ってあげて、香水選んで、行きつけの店を見つけてあげたい。一人一人に。きっと死なない。楽しくなっちゃう。金はかからん。おれも無償でいい」

さて、「よみぐすり」を読んで、私は今自死念慮はないのですが、トマトか何かを栽培できないかなと考えています。何かを続けていれば人生きっと楽しくなりますよ。全ての人に(子どもたちにも)「よみぐすり」をおすすめします。

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