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闘う書評!フロム「愛するということ」①なぜ愛は技術なのか

最初に断りますが、「愛するということ」は恋愛指南の本ではありません。「THE ART OF LOVING」が原題で、愛の技術という意味です。

技術というからには、それを学ぶ必要があります。画家になるには、たくさん絵画を描かなければなりません。芸術の歴史も学ぶことになります。プロ野球選手になるにはたくさん走って、ボールを投げたりバットを振ったりします。また、テレビなどでプロ野球選手の姿から勉強もするでしょう。それらと同様に、人を愛するためには知識と努力が必要です。

フロムの言う愛とは、女優の○○さんがタイプといった「好み」の問題ではありません。特定の対象によって惹き起こされるものではなく、その相手の幸福、成長、自由を目指す積極的な欲求です。

フロムは愛することができる人のことを「成熟した人間」と呼びます。それは、自分の力をより発達させられる人であり、知性に裏打された謙虚さをもつ人のことです。

ひとりの人を愛すること、つまり自分を相手に与えることを通じて自分を知り、相手を知ります。それから「人間」を発見します。だから愛とは特定の人との関係にとどまりません。少々オーバーな表現ですが、愛とは人類を愛することであり、また世界全体に対してどう関わり、どう生きるかという方向性なのです。

フロムはマルクスを引用しています。「経済学・哲学草稿」からです。

「人間を人間とみなし、世界に対する人間の関係を人間的な関係とみなせば、愛は愛としか、信頼は信頼としか交換できない。その他も同様だ。(略)人間や自然に対する君のかかわり方はすべて、自分の意思の対象にとってふさわしい、君の現実の、個人としても生の明確な表出でなければならない。もし人を愛しても、その人の心に愛が生まれなかったとしたら、つまり、自分の愛が愛を生まないようなものだったら(略)その愛は無力であり不幸である」

つまり、愛は愛を生むものです。愛さなければ愛は生まれないのです。

 

#フロム #愛するということ