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書評「誰がために医師はいる」松本俊彦 「ダメ。ゼッタイ。」は嘘!薬物依存症と闘う精神科医

今もまた、芸能人の薬物所持・使用のニュースが報道されています。そして、Yahooニュースのコメント欄は荒れに荒れています。「執行猶予は要らない」「厳罰化しないと抑止できない」「薬物は恐ろしい」「一回手を出せば終わり」「もう普通には戻れない」「人として最低」などと。しかし、依存症(アディクション)の臨床経験が豊富な松本俊彦医師ならどうコメントするでしょうか。まずは薬物依存症についての偏見をなくすことを訴えるでしょう。そして「刑罰だけでは何も解決しない」「刑罰ではなくて治療が必要だ」と話すに違いありません。

「誰がために医師はいる」はエッセイ集です。繊細な文章にユーモアも感じられますが、読み進めると激しい炎のような熱さを感じて、一気に読めるものです。

そして松本医師は「ダメ。ゼッタイ。」「覚醒剤やめますか、それとも人間やめますか」という有名になってしまったフレーズを強く否定します。「この世には、よい薬物も悪い薬物もない。あるのはよい使い方と悪い使い方だけ。そして、悪い使い方をする人は、何か他の困りごとがあるのだ」だから必要なのは「薬物という『物』に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた『人』への支援こそが必要なのだ」マスコミや一部の「専門家」はわかっていません。依存症者を袋叩きにしても何も解決しないことを。

愛車への愛と改造へのこだわりを書いた「アルファロメオ狂騒曲」、自殺された患者と、小田原城で過ごした10代の頃とが繋がる「失われた時間を求めて」、「ドリフ外来」でサクッと患者を捌くという批判と自虐「医師はなぜ処方してしまうのか」など全10章とボリュームがあって小説のようにも読めます。そして、あとがきでもう一撃喰らいます。何かに怒り、何かに挑み、そして闘うこと。私自身も、それを忘れていたなと痛感しました。私もこれから精神科を受診します!

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