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生活保護を活用しよう② 週刊ダイヤモンド特集BOOKS 「生活保護3.7兆円が日本を蝕む」は正しいのか

冒頭から笑ってしまうのですが、週刊ダイヤモンドさんの生活保護観が「どこの発展途上国の話なのか」と訝しい箇所が随所にあります。

目次の次がマンガになっているのですが(母子家庭の親子が何故か皆泣いている)「正しい受給」というタイトルです。

・夫と離婚し、女手一つで親権を持つ子供が3人育てなければならないが、自らも障害を持っており、仕事は見つからない。

・高齢者の一人暮らしで、子供がおらず、重い病気のため、年金を用いても介護費や医療費を自分では支払われない。

これでは読者に大きな誤解を招くでしょう。基本的には収入が最低生活費以下なら生活保護を受給できます。(もちろん、他にも要件はあります)だから、母子家庭の母親が障害を抱えていなくても受給は可能です。また、高齢者に子供がいても、重い病気ではなくても受給していいのです。

つまり、生活保護の要件さえ満たせば、全ての国民に無差別平等に適用されます。生活困窮に陥った理由や過去の生活歴や職歴等は問われません。これを「無差別平等の原則」といいます。

この本では、生活保護受給者は恵まれている、楽をしているなどと憤る一方で(もらい得とか、正直者が馬鹿を見るという表現がある)生活保護受給者の医療扶助費がかさみ、生活保護が国家予算を圧迫するとしています。

ところで、生活保護予算を充分に確保することや、税収を増やすことは簡単です。つまり「賃上げ」です。

賃上げをすれば納税額も増えますし、モノを買えば消費税も支払えます。何故かこの本では生活保護受給者の増加や不正受給の発生には厳しく目を向けるのに、日本の国民の利益、ひいては国の発展には期待しないのです。マイナス思考にも程があります。

この本で提案される、生活保護受給者の顔写真を撮るとか、受給者の就労義務を課するなどはともかく、生活保護の期限を区切る有期制などは、一体どこの国の話なのか聞きたいモノです。

さらに、生活保護受給者が受け取った賃金を凍結予算にして福祉事務所が預かり、生活保護脱却したときに返還するとか、挙げ句の果てには、生活保護受給者の賃金を最低賃金の適用から外すとか暴論を述べています。(実際、障害者が作業所で時給50円位で働いて生活保護に頼っている人は数多いです)

週刊ダイヤモンドさんや、この本に登場する片山さつきさん(政治家)鈴木亘さん(経済学者)は日本という国を憂いているそぶりをしながら、結局は日本の没落を望んでいるとしか思えません。この国の発展のためには、生活保護を含めた社会保障の充実が必須です。身体を壊しても、事業に失敗しても生きていけるシステムはなくてはならないのです。

 

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