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熊本地裁判決。生活保護受給者が進学するときに世帯分離をする理由。そして孫は祖父母世帯を扶養する義務はあるのか

この裁判は、祖父と祖母の生活保護世帯から、お孫さんが看護師の資格を得るために「世帯分離」をしたことが始まりです。よくあるケースでしょう。現状の生活保護制度では、受給者の大学や専門学校への進学は認められないのです。そして、お孫さんが准看護師の資格を得て働くと、祖父と祖母の世帯を養えるとして、福祉事務所は生活保護を打ち切ったのです。それが違法かどうかを争われたものです。その結果、原告夫妻の勝訴です。

熊本地裁「世帯分離は大学や専門学校で能力を身につけて、将来の自立を促進することが目的で、収入の増加のみをもって世帯分離を解除するのは相当ではない。生活保護の打ち切りが原告世帯を困窮させ、孫の自立を妨げることは容易に予測できた」

つまり、夫妻は引き続き生活保護を受給して、お孫さんは正看護師を目指しながら働けるということです。真っ当な判決です。これまで、このようなケースで泣き寝入りした人も数多いでしょう。

そもそも、お孫さんが看護師の給料で、老夫妻を養うことが無理です。たとえ、お孫さんが高収入であったとしても、老夫妻は生活保護を受ける権利はあります。だいたい、三親等の人にまで扶養照会をする国が他にあるのでしょうか。扶養することは義務ではなく任意であるべきで、そうでないと貧困そのものの解消はできません。

生活保護の議論をすると、その予算が国家財政を圧迫するのではという批判が必ずでてきます。しかし、これは半分ウソです。社会保障給付費が約100兆円で、そのうち生活保護の財源規模は3.7兆円です。年金が55兆円、医療が21兆円なので、まあ比較すると微々たるモノなのです。例えば、国民全てに10万円を配るなら、12.5兆円必要で、それが可能なら生活保護を手厚くして利用しやすくする方が、より貧困を無くせるし、安上がりでもあるのです。

画期的な判決でしたが、本来は生活保護でも大学や専門学校に進学ができるようにするべきです。生活保護に限らず、貧困が理由で進学ができないという悲劇は、無くさなくてはなりません。その意味で生活保護の問題は、全ての人にとっても無視はできないのです。

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