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ベーシックインカム批判⑨山﨑元のベーシックインカムは格差解消に有効か?

自慢するわけではありませんが、ベーシックインカム(以下BI)批判の論客って、私以外にどなたかいらっしゃるのでしょうか?予算がめっちゃ必要だとかだけではなくて、多面的に批判している人はお目にかかったことがありません。

いい機会なので過去のブログを簡単に振り返ります。

BI批判①ではAIに仕事が奪われるからBIが必要だという意見を批判しました。ただ、一人ひとりの欲望に単純に訴えているのでBIに幻想を抱く人は多いとも書きました。

BI批判②ではシュミット達がスイスでBI導入の国民投票を図りましたが大差で否決された要因を分析しました。

BI批判③は、近未来、熟練労働者が単なる「係員」に置き換わるのですが、BIでは根本的には解決できないことを書きました。単純労働の増加とBIを結びつけることがそもそも変です。

BI批判④は、そもそも「全員」に配るのは不可能だと述べました。在日外国人、受刑者、技能実習生、移民や難民などには支給されないと思うのです。「私は関係ない」と思われるでしょうが、理念と現実が一致しない制度ってどうなのでしょうか?

BI批判⑤ではシュミットが日本で講演しましたが「BIを月20万円配ると今まで手にしていた給料や社会保障や年金は月20万円減るかもしれない」と、うっかり本音を漏らしたことを暴露しました。シュミットという代表的なBI論客がこう発言したことは忘れてはなりません。

BI批判⑥ではBIに必要な予算と生活保護の予算を比較しました。BIを仮に月10万円とすれば月に13兆円ですが、生活保護の生活扶助と住宅扶助を合わせて月1500億円程度です。貧困を解消するのなら生活保護はこの先も有効ですし、予算を圧迫することもないのです。

BI批判⑦では的場昭弘さんと白井聡さんのBI論を批判しました。ここの内容は今回は飛ばします。

BI批判⑧では柿沢未途さんのBI論を批判しました。資産や所得の高い人から徴税して低所得者にBIを配り、格差解消を目指すというものです。そこでは、例えば月収10万円の人に10万円支給して、就労不可の人に10万円支給することが平等とは言えるのかと書きました。また、生活保護制度に批判的なのがいかがなものかと思いました。

前置きが長くなりましたが、山﨑元さんのBIは、柿沢さんのBIと似ています。それに加えて、インフレ率2%の達成のためにBIが必要だと述べています。BIで札を刷れば確かにインフレはするでしょうが、そのコントロールはどうするのでしょうか。

消費者物価指数を「貧乏人物価指数」と呼ぶのは素晴らしいと思います。そして大企業の年収2000万円の人も油断をすれば貧困に陥るという指摘も同意します。

しかし、賃上げは中間層の凋落を招くとか、労働組合は「労働貴族」しかメリットがないとか、企業を通じて富の再分配はムリと言い、公的な再分配(BI)が必要だと言うのです。

山﨑さん、それはある意味、企業社会や資本主義の否定になりませんか?要はこれからの企業はまともに給料が払えないからBIを配れという意味に取れますよ。果たして、BI以外の道はないのでしょうか。

一例を挙げます。消費税などの増税は必要ですが、医療や介護、保育、教育などのサービスを無償にすれば貧困層にも中間層にもメリットはかなりあるでしょう。そして高齢者や障害者の就労できない方には年金だけで生きていけるシステムを作ります。生活保護は健常者らの雇用保険が切れた方の生活を保証します。事情があってパートタイムでしか働けない人も生活費の不足分を生活保護で補います。つまり、欧州型の福祉国家を目指すのです。

BI論者はなにかと、BI以外の道はないようにおっしゃることが理解できません。対案は私のような不勉強なものでも出せるのです。現状はBIに反対する人は、少数派なのは間違いありません。議論が必要ですし、私を含めて皆が日本社会の未来像をかたることが大事だと思うのです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

 

#ベーシックインカム #山﨑元