ベーシックインカム（以下BI）は人々の「欲望」に訴えているので、比較的賛同を得やすい政策です。だから人気取りには好都合で、特に何も考えていなくても、BIを唱えれば少しは支持が集まるのです。とにかく人気が欲しい著名人や弱小政党がBIに理解を示すのは必然とも言えます。
だから予算が○○兆円あればBIは可能ですよ、という人は大勢います。例えばひろゆきさんは、90兆円あれば国民一人当たり月7万円のBIができますよと試算をします。「BIで若者を救おう」と言うのです。
というわけで今回はひろゆきさんと繋がりのある、「ニコニコ大百科」のBI論を検証します。
BIの長所を3つ挙げています。
「とりあえず死なない」
現代日本で、貧困を苦に自殺をしている人が山ほどいるのでしょうか。言うまでもなく日本には生活保護制度があります。生活保護の生活扶助と住宅扶助を合わせれば年約1.8兆円です。BIの50分の1の予算で「とりあえず死なない」社会に既になっています。
「無意味な労働が減少」
つまり、公共事業が「無意味」だと言っているのです。BIを導入すれば公共事業が減る理由が分かりません。世の中にはムダな公共事業もあるかもしれませんが、BIとは全く関係はありません。
「社会保障制度のコスト減少」
90兆円必要な制度を導入するのが、コスト減少にはならないと思います。
そのニコニコ大百科に、堀江貴文さんのBIの予算確保論が書いてあるので、ついでに紹介します。
年金廃止10兆円
生活保護廃止3兆円
公共事業削減10兆円
防衛費削減2兆円
消費税増30兆円
公務員半減？兆円
ちなみに、公共事業予算年間7兆円位のはずです。あと、国家公務員、地方公務員合わせて約330万人いますが、165万人失業させるのですね。
堀江さんの試算は、ポピュリズムです。大衆受けしやすいモノを削減すると言っているだけです。その上で皆に月7万円無条件で配りますよと言えば反対する人はいないだろうと言う訳です。
忘れてはならないのは、このBIセコい話ですが「日本国籍の人」限定だそうです。（ひろゆきさんも明言しています）外国籍の方は約288万人、そのうち外国籍労働者は約170万人います。近くのコンビニで深夜働く外国人さんは、立派だなぁ、がんばってるなぁと、いつも思っているのですが、ひろゆきさんや堀江さんは、そうは思っていないのですね。
BIを全員に配ると言いつつ、「制限」を設けるあたりに欺瞞を感じます。受刑者も対象から外れるでしょうし、反政府活動とかすればBIの対象から除外されるでしょう。BIと民主主義は相性が悪いのです。国から生活費が配られる、自分のサイフが国家に握られるということは、国民主権や思想信条の自由などが侵害される覚悟がいるのです。
