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日本の賃金は低すぎる!③ 最低賃金を上げよう!タクシー運賃のダンピングから考える。

2021年3月23日のブログ「最低賃金引き上げに反対する205名を分析します」

同年6月2日のブログ「日本の賃金は低すぎる!①」

同年6月4日のブログ「日本の賃金は低すぎる!②」

と日本の労働者の賃金の低さを批判してきました。今回は日本の最低賃金について具体的に引き上げる術を考えます。

日本には真っ当な労働組合や労働運動がほとんど存在していないと私は思います。労働者の味方になる政治家や著名人も不在です。思うに賃上げを主張するのは、自分自身の給料を増やせというだけではなく、赤の他人の給料も引き上げろということです。単純なことですが。

例を一つあげます。2017年に東京のタクシーの初乗り運賃が730円から410円にダンピングされました。410円の根拠は「バスの運賃210円掛ける2人」よりも安くするというおかしなものです。なぜタクシーがバスと価格競争をする必要があるのでしょうか。

知られているようにタクシードライバーの賃金はほぼ歩合制です。大雑把に言うと営業収入の6割程度が給料になります。当たり前ですがバスと異なり、タクシーは一度に1人か1組の乗客しか乗せられません。だから運賃をダンピングしてもタクシードライバーの利益は全く上がりません。

そもそも、タクシーの初乗りは730円でも激安なのです。駅前から通学する高校生4人組を乗せることはよくあります。何故ならバスよりも安くて速いからです。高校生が気楽にタクシーが使える運賃にすでになっているのです。

その運賃が改正されたときにどれだけの人が抗議したのでしょうか。闘ったのでしょうか。「最低賃金時給1500円」をうたう全労連やエキタスは指を加えて静観していたのです。タクシーで時給1500円を目指すには営業収入2500円が必要ですが410円の運賃でそれは困難でしょう。

ところで「最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし」という全労連やエキタスの主張とダブる本があります。(著者、後藤道夫、中澤秀一、木下武男、今野晴貴福祉国家構想研究会)その中に「下流老人」の著作がある藤田孝典と今野晴貴、後藤道夫の座談会があります。そこで藤田がポロリと本音を漏らしています。

中小零細企業の賃金は、生活保護に張り付いている状況です。(略)経営者側が、自分たちは住宅手当まで面倒は見られないけれど税金は払うから政府や自治体でやってくれという要求を拡大していき、他方で、賃金分の仕事はちゃんとやってよ、という関係ができればいいと思います。」

どこの世界に生活保護以下の賃金しか支払わない企業を応援する労働運動があるのでしょうか。藤田にとって、中小企業は保護すべきもののようですが、一方で「ブラック企業」の批判をしています。これらが両立する論理が全く理解できません。どんな企業であろうと労働者を搾取していることには変わりないでしょう。

全労連やエキタスは賃上げのスローガンと並べて「中小企業に税金をまわせ」と主張しています。そこに欺瞞を感じるし、そもそも政府や自治体におんぶしないと給料も払えない企業を保護する理由がわかりません。それは中小企業だろうと大企業だろうと同じです。

まとめとして、私の考える賃上げのあり方を提案します。

①継続的な最低賃金の引き上げ。例えば毎年100円づつ引き上げること。

最低賃金を支払えない企業の淘汰。間違ってもそうした企業に「税金をまわさない」

③例えば、タクシー業界のようにタクシー事情を知らない人や団体にものを言わせない。厚労省や既存の労働組合に任せず、現場をよく知る労働者が主導する。これはどの業種でも同じ。

ここまで読んでいただきありがとうございました。