闘うブログ!レフティ中尾 社会派!

福祉を主なテーマに書いています。よろしくお願いします。

ベーシックインカム批判③専門職から「係員」へ

ベーシックインカム(以下BI)論議で必ず口にされるのは、仕事がデジタル化、オートメーション化されるので仕事の総量が減るといったことです。それは確かなことでしょうか。

例えば、タクシーを無人化するというニュースは最近よく耳にします。しかし実際には運転手の代わりに係員が乗車しています。乗降の際、手助けが必要な方もいますから。

ただ、人件費としては「カット」できるのです。二種免許を所持するドライバーよりは係員の方が給料が安くすむのです。「無人化」すればタクシー会社が儲かるのです。

タクシードライバーの人材が不足しているというのも嘘八百です。重労働の割に給料が低いため、なり手が少ないのです。ドライバーの売り上げはタクシー会社にピンハネされています。およそ6割が運転手の取り分です。だから月収45万円稼ぐには75万円の売り上げが必要です。これはかなり厳しいでしょう。運転手の取り分を増やすか、タクシー会社を解散させて、個人タクシーを増やせばいいのです。

他の仕事も基本的には同じ構図です。AI化は仕事そのものを無くすというよりは、仕事を単調化させることになります。そもそもAI化をしても、その機材の製造やメンテナンスは人間がします。そして仕事が極限まで単純化されて最低賃金か、それに近い賃金で働く人が増えるのです。

その結果、AI化は資本にとっては大きなビジネスになります。さらにBIが人びとに支給されるとその分の給料も減らすことが可能になります。わかりやすく図式化しましょう。月10万円のBIが支給されれば月20万円の給料が10万円まで減らされても労働者は飢えることはないのです。だからBIは儲かるのです。そして労働者は専門的な仕事の代わりに単調な「係員」になるしかないのです。これは私たちの望む未来なのでしょうか。