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日本の賃金は低すぎる!② 最低賃金を引き上げると3つの悪いことが起きる?

2021年6月4日のダイヤモンドオンラインの記事を読みました。「日本の最低賃金を1500円に引き上げたら起こる『3つの悪いこと』」がタイトルです。非常に興味深い記事ですが、これらは正しいのでしょうか?

その3つを順番に検討します。

①求人が減る

需要よりも高い賃金で人を雇うことで、企業は人減らしをするということです。これはもっともらしくは聞こえます。しかし、そもそも低賃金で働く人の需要が大きく減るとは思えません。

店員や清掃員、警備員などの仕事は現状無くなりません。AI化が進むとしても人手が不要となるにはまだまだ遠い未来の話です。人減らしをするなら、もともと給料が高い中高年の人になるでしょう。それに失業者が増えても失業給付などでカバーすればいいのです。欧州で若年層の失業者が増えても政府が転覆しないのは、手厚い社会保障があるからです。

②政府のサービスが低下する

求人が減って労働者が余ると政府が買い取ることになり、それが政府の効率化に逆行するという理屈です。例えば不要な道路工事を繰り返したり、デジタル化をやめるとか。

買い取るというか、政府が公務員を増やすのならこれは素晴らしいことでしょう。北欧など公務員が全労働者の三分の一の国もあります。どの国でも普通は公務員の給料は民間よりも高く、それが民間の給料を引き上げることになるでしょう。

③ヤミ労働市場の拡大

主に海外で不法入国者が低賃金で働かされるのを「ヤミ労働市場」と読んでいるのですが、日本では自営業扱いで低収入で働いている人たち(ウーバーイーツなど)を指しているようです。これはヤミとは言わないと思いますが。

例えば、タクシードライバーの賃金はややこしい計算式ですが、実質的には完全歩合給です。これを長年続けていていますが、低賃金で長時間労働のこの業界は、一方では中高年労働者の雇用の受け皿にはなっています。

ウーバーイーツで働く人たちの実態、報酬などを私はよく知りませんが、最低賃金が上がればその報酬も増えると思うのです。タクシーにしろウーバーイーツの自転車にしろ無茶な運転が物議を醸しています。これは最低賃金とは関係なく議論すべきです。

ところで、タイトルにある「最低賃金1500円」は全労連やその下部組織と思われる「エキタス」のグループが呼びかけているものです。私は最低賃金を引き上げるべきとは思っていても全労連やエキタスの主張には懐疑的に思っています。これについては次回で考えます。