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沖縄を考える② 闘う書評!「cocoon」今日マチ子

沖縄の「ひめゆり学徒隊」を描いた映画、ドラマ、文学は数多くあります。その中でも「cocoon」はマンガですが、これを読まずに「ひめゆり」は語れないほどの存在感のある作品です。(もっとも、作中で「ひめゆり」という言葉は出てきません。)

可愛らしいタッチのマンガですが、飛び散る血やウジの湧く傷、腹から露出した内臓、手榴弾で木っ端微塵となった死体なども描かれています。その表現は「グロ」とも言えなくて、それは読んでいて美しさですら感じられます。

主人公のサンは夢見がちな性格です。そして男性が苦手で怯えています。それは現代に生きる少女たちと共通しています。「お国のために」役に立とうとすること以外では。

負傷兵のために懸命に働くサンたちですが、日本軍からの命令で看護隊は解散させられます。つまり軍隊は彼女らを見捨てるのです。空襲には耐えられるガマから追い出されることは死を意味するというのに。

物語の後半、サンは兵士からレイプされます。それも「鬼畜米英」の兵ではなくて日本兵によって。ここでもまた、サンは日本軍に裏切られます。その後合流した女子生徒たちと共に集団自決の輪に入ろうとしますが「鬼畜に純潔を奪われるくらいなら死ぬわ」とつぶやく生徒の声に、「わたしにはここで死ぬ資格はないんだ」と輪から離れます。そのとき、サンの親友マユは「蚕は手榴弾なんか使わないんだ。自分で繭を破るんだ」「死ぬのは負けだ」と語ります。非常に心に響くメッセージです。

物語の終始に活躍するマユは「男勝り」なところを発揮します。最後、米軍の攻撃から逃げるのですが「いいかいおまじないだ」「この手は絶対に離れない」「元から一つの手だ」とサンの手を引っ張って走るシーンは息を呑みます。そしてラストではマユの秘密が明らかになります。

cocoon」は、この作品に出会えてよかったと心から思えるマンガです。特に、サンやマユと同世代の女子には読んで欲しい作品です。