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映画レビュー「Coda コーダ あいのうた」コーダ少女ルビーの複雑かつ奥行きのあるアイデンティティの魅力

不勉強な私は「Coda」という言葉を知りませんでした。1983年にアメリカで生まれた用語で、親の片方、または両方が聴覚障害で、健聴者の子どものことです。映画「コーダ」の主人公の女子高校生ルビーは、両親がろう者なので「コーダ」の一人です。

昔読んだ、西村京太郎の「四つの終止符」を思い出しました。その小説では容疑者となる青年がろう者です。古すぎてよく覚えていないのですが、作中で、ろう者の不自由さは、健聴者には理解が難しいといった説明がありました。目が不自由なことは目をつぶれば想像できますが、耳が不自由なことは耳を塞いでも、理解し難いでしょう。

さて、ルビーは両親と兄の4人家族です。両親と兄がろう者で、健聴者はルビーだけです。父親と兄は小さな漁船で働いていて、ルビーも通訳も兼ねて漁のお手伝いをしています。結構重労働のようですが、あまり苦にはなっていないようです。

家族といるときは奔放で逞しいルビーですが、高校ではシャイで、自己表現が苦手なようです。たぶん、コーダとして育ったルビーには、手話の使えないところでは、他人との意思疎通を測ることに不得手になるのです。今風の言葉で言えば「コミュ障」なのです。ルビーの苦悩は私たちの想像の届かない所にあるのでしょう。

それを克服するためか、合唱の部活動に参加します。そこで音楽教師にルビーの才能を見抜かれて、音楽の大学を目指すことを薦めます。ルビーもその夢を叶えたいのですが、家族のことを考えると…というストーリーです。

見どころは、ルビーの歌唱力と表現豊かな高速の手話です。私はもちろん、アメリカの手話は全くわからないのですが、家族での手話のやり取りは、スピードが速すぎて呆気にとられます。

ルビーだけではなく、両親や兄もパワフルな演技を披露しています。いずれも、ろう者の役者さんが演じているようです。どちらかと言えばダメな家族ですが、人間味が溢れていて憎めません。

泣ける映画ではなくて、爽快な気分になる映画です。ほとんどネタバレしていないので、ぜひご覧になってください。事前にコーダのことを予習しなくても大丈夫です。パンフレットとサントラは買って損はありません。Amazon musicでもルビーたちの歌は聴けますよ。

あっ、ルビーのボーイフレンドのマイルズのことを書くのを忘れていました。健聴者で部活仲間なのですが、なんだか頼りないようなキャラです。たぶん、マイルズはルビーに捨てられますね。そんな気はします。でもマイルズは他人には思えないのです。頑張ってほしいです。

 #Coda コーダ あいのうた

 #コーダ