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ベーシックインカム批判⑦的場昭弘×白井聡対談は物足りない

2021年3月7日、ダイヤモンドオンラインに的場昭弘さんと白井聡さんの対談の一部が掲載されていました。『「一億総生活保護」化⁉︎ベーシックインカム(以下BI)導入で危惧される未来とは』というタイトルです。BI批判を展開しているのですが、正直、ピントがずれている印象です。もちろん、全文掲載ではないので物足りなさを感じるのは仕方がないのかも知れません。

白井さんはこう述べています。「(BIによって)精神的にネガティブな影響が広がる結果にしかならない」「国民一億総生活保護化する」

そうですね。私も過去のブログ「生活保護入門②」で特別定額給付金は一種の生活保護だと書きました。これは一致しています。

白井さんはこう述べてもいます。(働かずにいてBIを受け取ると)「自分が社会に対して何も与えることができていないと思いながら社会から一方的に受け取っているという状態」こうした訳で「人間はすごく不愉快、不本意なことだろうと思います。だから心がすさみやすい」

いや、低賃金で働く方が心はすさみますよ。

「労働は人間という存在にとって極めて本質的なもの」「人間らしくあるための条件」

ずいぶん、大時代的な労働観です。働けない障害者は人間らしくないのでしょうか。

生活保護受給者の精神的苦痛が全国民に広がっていく」

そりゃ生活保護受給者は貧しいから苦痛は多少はあるけれど、最低賃金で働くよりはよっぽど生活しやすいですよ。蓮舫議員が「生活保護に陥いる」と発言したのと同じ価値観です。

それを受けて的場さん「労働は所得と関係なく存在している」「国家からお金を受け取るということはまあ、国家によってまさに飼い慣らされてしまうという危険性をはらんでいる」と結論しています。

的場さん、実はBI推進派は、労働と所得は関係ないからBIを配ると言っているのです。わかりやすく言えば、「〇〇の仕事はやりがいがあります。だから低賃金でいいですよね。それで足りない生活費はBIで補填してね」という理屈です。

私は過去のブログ「ベーシックインカム批判⑤」でBI推進派のシュミットが「日本で月20万円のBIを実施すれば給料、社会保障、年金は20万円分減るかもしれない」と述べているのを指摘しました。要はBIは企業が当然負担するべき給料や社会保障、年金を国に肩代わりさせる制度です。そこにBIの本質があります。

的場さんと白井さんは直感でBIが信用ならぬ制度だと見抜いてはいますが、BIの分析が足りてはいません。いつの時代でも労働者の賃金を上げることが大事です。ところがBIは賃上げを否定する制度です。BIでは労働者は豊かになりません。そもそも、月10万円のBIを配らなくても、時給で540円上げれば月10万円の所得が増えるのです。

また、それにあわせて生活保護制度も充実させることです。何故なら、最低賃金生活保護費は連動すべきだからです。BIは、逆に低賃金の方々の不利益になるので反対なのです。ここまでお読みいただいてありがとうございます。