私は兵庫県神戸市の市民です。随分と投票先を検討しましたが、結局は投票に行きませんでした。良くも悪くも全国的に注目されていたのですが、私は逆に冷め切った気持ちでした。何故なら斎藤元彦さんのパワハラばかりに焦点が当てられ、肝心の政策論争には候補者も有権者も関心を寄せないからです。
7人立候補がいて、最初から選挙で勝つ気がないと公言している立花孝志さんを別にして6人。そのなかで有力候補は斎藤さん、稲村和美さん、清水貴之さん、そして日本共産党推薦の大澤芳樹さんの4人です。しかし、斎藤さんと稲村さんの事実上の一騎打ちという見方が強かったのです。
手元に選挙公報があります。毎度のことではありますが、各候補者の公約にほとんど差異がありません。唯一、大澤さんは共産党らしき公約も出しています。例えば賃上げのための中小企業支援など。私はまともに賃金が払えない企業はその規模問わずに淘汰されるべきだと思うのです。だから大澤さんの選択は消えました。
清水さんは演説に力があり、頼もしく見えます。ただ、公約に独自性が無くて残念なのです。それに上位に食い込むには人員も不足している印象です。
さて、残るは斎藤さん、稲村さんです。このお二人、何を争点にしているのかよくわかりません。選挙公報では斎藤さんも稲村さんも、しがらみや既得権益の風通しを良くすると言い、財政の健全化も両者訴えています。あとは教育や子育て、防災を取り上げていることも共通しているのです。
これを見て私は、おふたりは兵庫県を改革すると言いながら、実際には単に斎藤さんのスキャンダルの是非を問うてるだけに思えたのです。だから公約も、県民の声を拾ったのではなく、当たり障りのないものになったのです。だから政策に差異がないのも必然です。
勘違いされている方が多いのですが、斎藤さんと稲村さんは、保守とリベラルではありません。誰かが選挙結果に触れて「リベラルの底が抜けた」と言いましたが、それは単に稲村さんの公約や演説に触れていないための誤解でしょう。稲村さんはゴリゴリの保守です。右翼です。
つまり、おふたりが目指すのは中間層への支援です。夫婦で働き、子どもを育てて大学へと進学させるという世帯を守ることを最優先にしています。もちろん、私はそれ自体に反対するわけではありません。ただ、それに極端に偏りすぎて、低所得者への支援がほとんど無視されています。そこでリベラルの出番です。低所得者や高齢者、障害者、母子家庭こそ重点的な支援が必要だ、というのが「左派」です。
そして、この選挙戦では各陣営の戦い方にも注目がされました。まずは立花さんです。自身に投票を呼びかけるのではなくて、斎藤さんの応援団の役割をしました。選挙公報にも、斎藤さんのことばかり書いています。彼の演説は聞きたかったのですが、それは叶いませんでした。
斎藤さんと稲村さんは、演説に熱を帯びていて、さすがだなと感じました。それはいいのですが、このおふたりの「戦略」は常軌を逸していました。
斎藤さんの陣営はSNSでの活動に力を入れていました。Xに三ノ宮センター街前で演説している斎藤さんの背後から広角に撮影したものがアップされています。これは三ノ宮の地理を知っていればわかることですが、そのセンター街の前の車道に群衆がひしめき合っていています。その車道に交通規制をしたのならまだわかるけれど、そのようなはずはありません。他にもぎっしりと道路を埋め尽くしている写真があるのですが、これらはフェイクなのかどうか私にはわかりません。
さて、稲村さんの陣営ですが、これには非常にショックをうけました。公職選挙法違反以前の活動です。
私が目撃したことですが、三ノ宮近辺で斎藤さんのグループを取り囲んで挑発するグループがありました。誹謗中傷(パワハラ斎藤は帰れ!など)を浴びせて、その旗などを奪って踏んだり、その間ずっとスマホで撮影したりします。さらに、押したり押し返したりして、挙げ句に斎藤側から暴力を振るわれたとわめいて、警察官に突き出したりしたのです。
私は思うのです。多少のぶつかり合いがあったとしても、見知らぬ人を警察に突き出すのは恥ずべき行為ではないかと。まして、仕掛けたのはあなたたちでしょうと。私が斎藤さんのグループにいたら、殴り返すかもしれないけれど、警察の力はまず借りません。相手が凶器を持っていたら話は別ですが。
これを目撃したときは彼らが何者なのかわからなかったのですが、後日Xでその妨害グループの映像を見つけました。そのときに彼らが「しばき隊」と呼ばれる実行部隊だとわかりました。しばき隊のことは知っていましたが、実際に目にするのは初めてでした。作家の菅野元が主な構成員のひとりで、彼がXなどで動画を拡散したのです。そして、彼らが稲村さんを応援していることも知ったのです。
彼らの動画では「斎藤陣営が暴行した。警察に逮捕もされた」というのですが、どうみても逆にしか見えないのです。それにしても、稲村さんは彼らの過激な行為を知っていたのでしょうか?全く知らなかった訳はないと思います。斎藤さんやその支持者たちを反社呼ばわりしたことの罪は重いです。
さて、兵庫県知事は斎藤さんに決まりました。県知事の側で働く人たちにとっては受難かもしれません。もちろん良くも悪くも選挙の結果だから文句はありません。ただ、今後も荒れた選挙戦になる気もして嫌になります。しばき隊の構成員の大半は首都圏在住のはずですから、兵庫のことは放って欲しいのです。