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生活保護受給者を蔑視する精神科医。受給者をまとめて一ヶ所に集めて生活させることはアリなのか?

生活保護バッシングをする人の大半が実際の受給者とは接点がなくて、その暮らしぶりをウワサや想像で語っていると思われます。何故だかヤフーニュースではかなり頻繁に生活保護が取り上げられています。その内容ではなく、コメント欄が非常に過激になっています。たぶん、ヤフーもコメント欄がにぎわうので、積極的に報じているのでしょう。

そのコメント欄で目立つのは、受給者を田舎で一ヶ所に集めて集団生活をさせろ、というものです。そして保護費を全て現物支給にする、つまり食事や衣服は最低限だけ与えれば不正受給も無くなるし、パチンコなどのギャンブルをすることもないということです。そりゃ不正やギャンブルは問題はありますけどね。

それにしても、何故一ヶ所に集める必要があるのでしょう。コストカット以外にも理由がありそうです。生活保護受給者は恥を知れとか、フルスペックの人権は必要ない、という理屈です。そこは現実の生活保護とはかなりかけ離れたものです。

だいたい、生活保護受給者は守秘義務で守られています。自分のことを「生活保護受給者」と言わない限り、誰にもわからないのです。福祉事務所の職員、親族、医療機関(医療扶助、つまり現物支給のため)以外の人にはわからないのです。だからよく耳にする「生活保護の人がパチンコをしている」「生活保護の人が高級車に乗っている」「夜の仕事をしている」「薬を転売している」というのは近所に住んでいてもわかるわけがありません。

不正受給をしている人の大半はルールを知らない人です。また、あえて悪質なことをする人もリスクが高すぎるので、ほぼいないでしょう。バレたら二度と生活保護は受給出来なくなるからです。

さて、生活保護受給者で精神科に通う人は多いです。これは就職先が見つからないことが大きな要因です。精神・知的障害者は一般就労はかなり困難です。障害者雇用身体障害者を優先的に雇います。就労していない期間が増えると、もっと就労の機会がなくなります。そんなスパイラルに落ち込んだら生活保護しか頼るものが無くなります。つまり、本人の努力だけではどうにもなりません。

その受け皿のひとつが作業所です。A型とB型があって、A型は最低賃金が保証されています。B型は賃金ではなくて工賃です。だいたい時間100円前後です。障害が比較的軽くて若い人はA型に入れるようです。いま、A型作業所の倒産が増えていて問題となっています。

B型はいろいろな人が通います。作業をすることが困難な人もいます。みっちりと働く人もいます。作業が楽なのかと言えば必ずしもそうではなく、レストラン、喫茶店、お弁当屋、パン屋、農作業、クリーニング工場といった、かなりガッチリと働くところもあります。最近では動画編集やアニメの動画描きという、若い人が好みそうなジャンルも増えています。

もうひとつの居場所が精神科デイケアです。生活保護受給者なら自己負担がないのでお得です。食事も出るところが多いので、節約も出来ます。友だちもできるかもしれません。

さて、精神科医生活保護受給者を蔑視する理由は何でしょう。あまりにも接する機会が多いので、嫌な思いをすることもあるのでしょう。逆に生活保護受給者についてとても理解がある精神科医もいます。たぶん、相性の問題です。

精神科医の東徹さんは、おそらく前者なのです。生活保護制度を変えなければ日本は終わるとおもっているのでしょう。こんなポストがあります。

「ものすごく雑に言うと四畳半程度の個室、トイレ風呂などの共用の学生寮的な巨大な住居に高齢者も若者も入ってもらうことが必要だと思います」

「これから先、団塊の世代が山のように生活保護になります。避けようがありません。それをいかに効率的に低額で抑えるかがキモです。財源がどうかなど瑣末な問題。基礎年金を消費税で補えば解決したかのように思うお花畑論者は老人ホームで講演でもしてください」

「関係ない他人が文句を言います。私は長期入院の患者を多くみてるので、本当の文化的な最低限の生活はどの程度か。100年前の王様の生活です」

生活保護を効率化(削減)して真に最低限の生活を確保することに専念するしかありません。生活保護スティグマがあるので『ベーシックインフラ』などどうかと思っています」

引用が長くなりましたが、東先生のポストはまだまだ続きます。もうお分かりでしょうが、先生のおっしゃることは、ヤフコメそのものなのです。先生なりに未来を危惧しているのでしょうが、何より問題なのが「巨大な住居」に住まわせることです。これではその外に住む人たちに生活保護受給者だということがわかってしまうのです。これは想像以上に過酷です。その住居内でも、そのスタッフ以外はみな生活保護受給者だとわかります。これは一種の「隔離」です。「監獄」です。罪の無い人に罰を与えることです。仮に個室が与えられるとしても、本質としてプライバシーが無いのです。

何故こんな極論が支持されるのでしょうか。生活保護バッシングは非常にウケます。しかし、生活保護が国家予算を圧迫するというのは数字で見ても誤りです。社会保障給付費は約140兆円です。その大半は医療や年金であり、生活保護のうち生活扶助と住宅扶助を足しても約1.8兆円です。医療と年金は今後膨れ上がるでしょうが、生活保護は横ばいです。実際生活保護受給者の数は大して増えていません。

百歩譲って生活保護予算を削るなら、就職の支援は有効です。そこそこ元気なのに就職にありつけない人はけっこういます。作業所で頑張っただけでは就職できません。障害者雇用をもっと増やして、給料もあげれば良いのです。そのための法整備と、一人ひとりの自尊心を高めることです。精神科病棟を退院して、グループホームへ住む人はいるけれど、やはり自尊心を軽視しているから上手くいかないのです。まあ、生活保護について語ることはむしろ良いことですけどね。