ブックレビュー「戦争プロパガンダ10の法則」アンヌ・モレリ
この本の目的は「あらゆる戦争に共通するプロパガンダの法則を解明し、そのメカニズムを示すこと」と書かれています。2001年に刊行されていますが、今進行中のウクライナ戦争にもこの法則が当てはまるのです。
私は当ブログでたびたびウクライナ戦争を取り上げました。読者の方には既にお分かりになっているでしょうが、基本的にはウクライナへの批判が多いです。これはロシアを正義としているのではなくて、ウクライナのプロパガンダの量が圧倒的なので、それの真偽を疑う必要があったからです。
また、ほとんどの政治家、著名人がウクライナ支持を表明していて、それこそスカイツリーなどでもウクライナカラーでライトアップされていることに危なさを感じたこともありました。
この日本ではウクライナのプロパガンダに全面的にしてやられています。アメリカやNATOの影響力が強くて言いなりになるしかないのです。
さて、この本のベースは1928年イギリスで刊行されたアーサー・ポンソンビーの「戦時の嘘」です。第一次世界大戦でのイギリスの戦争プロパガンダを批判した本です。
ポンソンビーは平和主義者で、戦争をもちろん憎んでいました。ところが当時のイギリス政府によるプロパガンダ、それは老若男女問わず、あらゆる国民に義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽りました。多くの志願兵を集めるために「嘘」を広めたのです。その嘘をポンソンビーは暴こうとしたのです。
そして、モレリは現代の戦争でもプロパガンダがあふれかえっていることに警鐘を鳴らしています。全ての戦争に共通するプロパガンダの10の法則を解明しているのです。以下、その法則を述べます。矢印の先は私のひとことです。
①われわれは戦争をしたくない→私は平和を望んでいます!演説で何度も表明しました。
②しかし敵側が一方的に戦争を望んだ→ロシアは侵略者だ!しかも民間人にも攻撃している!
③敵の指導者は悪魔のような人間だ→プーチンはサイコパスだ!頭がイカれている!日本の精神科医もそう言っている!
④われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のため戦う→われわれはウクライナのために戦っているのではない。民主主義を守るためだ!独裁者プーチンを倒せ!
⑤われわれも意図せざる犠牲を出すことはある。だが敵はわざと残虐行為を行なっている→ロシア兵は見せしめのために民間人を虐殺している!証拠写真が少なくて動画でも死体が動いているが、間違いではない!
⑥敵は卑劣な兵器や戦略を用いている→ロシアは化学兵器を使おうとしている。核兵器も使うだろう。原子力発電所も破壊しようとしています!
⑦われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大→開戦1週間でロシア兵は15000人戦死した!ちゃんと数えたから間違いは無い!
⑧芸術家や知識人も正義の戦いを支持している→赤旗日曜版でも俳優さんたちは皆ウクライナを支持しています!Twitterでも名前にウクライナカラーのハートマークをつけています。
⑨われわれの大義は神聖なものである→だからこの戦争は負けるわけがありません!女、子どもも動員します!対戦車ミサイル、まだ余っているから皆戦って!
⑩この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である→だから日本人もウクライナ募金してね!ウクライナの正義を疑うのは非国民だ!
私もウクライナの平和を望んでいますが、それとウクライナの政府とゼレンスキーを支持することは別だと思います。繰り返しますが、ロシアとプーチンを支持しているのでもありません。この悲惨な戦争を理解するには必読書です。
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