闘うブログ!レフティ中尾 社会派!

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DJ SODAさんの性被害について。加害者と断定させられている男性を擁護します

「事件」が起きた(らしい)時点では、さほど注視はしていなかったのですが、「青汁王子」と名乗るユーチューバーが、2人の男性を顔出しで謝罪させたことを見て、これは私も黙ってはいられないと思ったのです。一言で言えば酷い動画です。

青汁さんはお二人を「犯人」と呼びます。しかし、青汁さんはお二人がどのような「罪」を犯したのかを一切口にしません。ネット上では「犯人」はDJ SODAさんの胸を触ったということになってはいます。しかし、私の見た映像では胸を触ったという証拠にはならないものです。お一人の男性がSODAさんの肘を支えているようにも見えますが、これはSODAさんも男性も不安定な姿勢だったのが原因のようで、痴漢行為とは言いづらいのです。

基本的な事を述べます。この国には「推定無罪」という大原則があります。裁判にて犯罪があったと認められるまでは「無罪」なのです。だから青汁さんがお二人を「犯人」と決めつけて、動画にて顔を晒すことは不適切と言えます。この青汁さんの動画の再生数は100万件を超えていて、非常に影響力のあるものです。おそらくは「スシローペロペロ事件」のように氏名や勤務先なども特定されているのでしょう。

痴漢行為を許さないことと、お二人が「犯人」なのかを検証することは別の話です。動画に決定的な証拠が無く、目撃証言も今のところ無い中で、社会的な制裁を与えることは「罪」です。事件の目撃者ではなく、 SODAさんの関係者ですら無い青汁さんの動画は、単なる売名行為です。

お二人は不起訴処分になる可能性もあります。痴漢行為を決定づける物証や証言が今後現れないとすれば、裁判にすらなりません。お二人の自白はもちろん証拠にはなりません。「スシロー」のときもそうでしたが、SNSでのリンチが事実上放置されているのは好ましいことではありません。論点を SODAさんの国籍や服装にずらすことは適切ではありませんが、かと言ってお二人を犯罪者扱いをすることも論外です。

何故こうした法律を無視した暴挙が許されるのかは、検証する価値があります。大きな理由のひとつは、本来ならSNSや世論を疑う使命があるはずのマスメディアがそれらに同調していることです。例えば「ニューズウィーク」の西谷格さんの記事です。酷いものです。幾つか引用します。

「日本社会が性暴力に遭った被害者をどういう目で見て、どう扱おうとしているかを測る貴重なバロメーターになる」

性暴力事件に関してはこの国でも認知されています。「被害者をどういう目で見て」と言うけれど、多くの人が性加害を許さずにいることには疑う余地はありません。

「厳格なイスラム教徒の服装のようにヒジャブやブルカでも着用して全身を巨大な布で覆わない限り彼らは納得しない」

誰もそのようなことは言っていません。ただ、公共のビーチで「紐ビキニ」で踊る猥褻動画をSNSでアップしていることは、事件とは関係なくても非難されるのは当然です。

「客側がまともに振る舞えば、現行の警備体制で何の問題も無いのである」

現に、警備が大失敗しています。警備は SODAさんだけではなくて、観客も護る責任があります。後方の客が前方の客を押し退けることで怪我人が発生する可能性もあるし、ハイタッチをしようとした客の手が押されて、SODAさんの身体に触れることもあるでしょう。

「今後、運営側が警備体制を強化することはあるかもしれない。ただ、それは客側にバカな人間がいたために、バカに合わせているというだけだ」

何故、観客をバカと断定するのか意味不明です。お金を払って楽しんでいる人たちを罵倒する意図が分かりません。百歩譲って「犯人」がいたとしても彼らをバカと呼ぶのは適切とは言えません。

「相手女性が不道徳・不誠実な人間であれば、性被害を受けてもやむを得ないという考えなのだろうか」

誰もSODAさんの人格を疑ってはいないでしょう。性被害を受けてもやむを得ないとも言ってはいません。そうではなく、「性暴力を受けたのは日本が初めて」と SODAさんが述べたことに反発をした人がいたという話です。これについては、双方ともに言い過ぎだと思うのです。

公正世界仮説を信じ込む人々は『被害者にも落ち度がある』という考えを非常に好む。そう考えることで精神バランスが安定するらしく、このフィルターを通さないとものごとを把握できない様子である。『どっちもどっち』という粗暴な結論がネット上で多用されがちなのも、このためだろう」

性暴力が実際にあったのかを検証せず、動画に写った男性を犯人だと断定することこそ、粗暴な結論です。被害者の落ち度の有無は無関係です。

「集団のなかで波風を立てないことが至上善とされる日本社会では、被害者叩きに容易に流れてしまう空気があるのではなかろうか」

波風がこんなにも吹き荒れている現実があって、西谷さんもその原因のひとりです。

「今回の一件は、水着姿の女性が群衆に近づいた際に、胸の部分を『普通は触る(触られても仕方ない)と捉えるか』『普通は触らない(触るのはおかしい)』と捉えるかという問題に帰結されるかもしれない」

誰も「普通は触る」とは言ってはいないでしょう。性加害者の心理が理解できていません。そのことについては次回のブログで述べる予定です。

「おっぱいを触りたくなる気持ちだけは分かる。以上」

知らないよ。勝手に触ってろ。

 SODAさんが性被害にあったことが事実としても、男性を特定して皆で石を投げることこそ野蛮です。法治国家なのだから、法により処罰されるべきです。西谷さんに限れば、実際に起こった事件ではなくて、一般論に終始しています。被害者を擁護することは正しいのですが、加害者が不明なのにも関わらず、世論が「被害者叩き」をしていると決めつけるのは一種の妄想です。

ひとつ気になるのは、SODAさんは同業者からどう思われているのかです。紐ビキニの動画で客を釣る人を、面白くないと思うDJは多いだろうと推測します。事件とは全く別の話ですが、一部の人が「女性が何を着るのかは女性が決める」と述べていることは、正しいようで誤りです。猥褻な動画を不特定多数に向けて発信することは論外です。SODAさんに限らず、女性も男性もSNSで過度な露出をすることは許してはいけないと思うのです。

 #DJ SODA