というブログがあったのです。酷いのは、そのブログに賛同するコメントが大量についているのです。そのブログの目的についてこう述べています。
「私が親の介護医療に関わって役たつなってことを紹介」(原文ママ)
「医療保護入院制度を使って負担を軽減できる」
医療保護入院とは強制的な入院制度のことです。つまり患者さん本人の同意なく入院させることです。NHKで滝山病院を告発する報道がありました。その精神科病棟は「死ななければ退院できない」と呼ばれています。患者への虐待が日常的になっています。医療保護入院制度を悪用しているのです。その滝山病院の目的はもちろんカネです。
そのブロガーの父親は80代後半です。父親は家族に暴力、暴言をふるう軽度の認知症のようです。認知症の進行を遅らせるクスリもあるし、訪問看護や訪問介護、デイサービスなど、患者さんやご家族を支援する制度もあります。そのブロガーはこう言います。
「介護申請してもサービス受けるの難しそう」であってもケアマネジャーを通して病院を探す。
「看取り(ぶっちゃけ死ぬまで)その病院が面倒を見ていただけるか?できないならそれに対応できる病院を紹介してほしい」と伝えるそうです。
そうしてその父親は病棟内でどう扱われるのかは、容易に想像できます。身体拘束をされてクスリ漬けにして、自由が効かない、娯楽もない生活になります。刑務所のほうがまだマシな気がします。
さらにこう述べるのですが、もはや意味が分かりません。
(父親が医療保護入院させれば)「暴言暴力家族本人のQOLが上がる」
(クオリティオブライフ・生活の質)をいうのなら、家族と共に生活することを目指すべきです。認知症の家族を抱えている家庭はたくさんあります。このブロガーは自分の「成功体験」を語り、それを不特定の読者にオススメしていることが、もう悪質極まりないのです。
事実、コメント欄にはそれを賛同するものばかりです。安楽死を肯定する意見もあります。滝山病院事件を通り越して、相模原事件を連想します。役に立たなくなった人を診るのはムダ。迷惑をかける老人は死ね、と言わんばかりです。
真っ当な医療機関や医師、医療従事者のほうがもちろん大多数です。だから今回のケースでも、短期間の入院と投薬で、ある程度症状が落ち着く可能性は高いでしょう。当たり前のことですが精神科病棟は「姥捨山」ばかりではありません。あくまでも治療の場です。そして本来の意味で患者さんのQOLを実現して欲しいのです。
#精神科病棟