アメリカの反戦著名人であるノーム・チョムスキー(94歳!)は、ウクライナ戦争を終わらせる二つの方法を述べました。それは簡単なようで難しいことです。
「一つ目は交渉による解決、二つ目は(現在のように)最後まで戦うこと」
日本人では著名人や政治家を含めて、徹底抗戦、侵略者に屈しないという意見がほとんどです。ウクライナに化学兵器から守る防具とドローンを送ることが決まっています。つまり、ゼレンスキー大統領が率いるウクライナ軍が反撃して、ロシアの侵略者たちを追い出すことを望んでいるのです。これにあえて反対している人はごく少数です。
ただし、これはロシアとウクライナの兵士たちが多くの血を流すことを意味しています。大勢の民間人も犠牲になるでしょう。だから私はこれには賛同できません。
考えたくないことですが、ロシアが核兵器を使う可能性もゼロではありません。アメリカのジャーナリストの中には「プーチン大統領はイカれている、正気ではない」という発言をしている人もいます。真偽は不明ですが、だったら戦闘を継続するのは、なおさら危険です。
アメリカの政治家も、ロシアに経済制裁を強めて、ウクライナに武器弾薬を供給することを方針としています。日本も同じです。しかし、チョムスキーはこれには反対しています。
もう一つの外交による解決はある意味、プーチンに退路を与えることになります。つまりプーチンの「正義」を認めるようなものです。具体的にはウクライナの中立化(NATOには加盟しない)とドンバス地域の自治権を付与することです。これにウクライナが合意すれば戦争は終結します。
ゼレンスキーもバイデン大統領も、この妥協案は簡単には飲めないでしょうけれど、こうすれば人的被害はこれ以上拡大することはありません。
明日台風が来るとして、「台風は嫌いだ、認めない」と言っても何の役にもならないのと同じく、「プーチンは嫌いだ、認めない」と何百万回唱えても解決にはなりません。それは面白くないでしょうし、理不尽でもありますが、この選択が現実的です。
「戦争は始めるのは簡単だが、止めるのは困難だ」という言葉を知人に教えていただいたのですが、困難なのは決断をすることであって、それさえ乗り越えれば知恵を結集して、立場を越えて分かり合えるのが人間だと信じています。
チョムスキーは子どもの頃、サマーキャンプをしているときにラジオで広島に原爆が投下されたのを知りました。ショックだったのが、まわりの誰もがそのことに関心を持たないことだったそうです。その頃と比べると、私たちの多くはウクライナ戦争に関心を持っています。情報もたくさん入ってきます。あとは考えることと行動することです。罪の無いウクライナの人々に平穏が訪れることを願っています。
※チョムスキーの発言はハンギョレから引用しました。ありがとうございます。
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