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ベーシックインカム批判⑯山崎元のBIで「大きな福祉」の決定的勘違い

ダイヤモンドオンラインの山崎元の記事「ベーシックインカムなら『小さな政府で大きな福祉』を目指せる理由」を批判します。

山崎さんは(岸田文雄首相が提言している)新しい資本主義を「小さな政府で大きな福祉」と解釈しています。その大きな福祉こそベーシックインカム(以下BI)で実現できると考えています。確かにBIとは「小さな政府」の究極的な政策です。もっと言えばBIは「夜警国家」に相性が良いのです。国家の役割を治安の維持や安全保障に限定して、後は市場に任せるのです。

すると医療や、生活保護などの福祉は企業に委ねることになります。それらの支払いはBIで支払うことになるでしょう。しかし、医療や福祉はカネだけで買えるのでしょうか。

生活保護受給者を支えるケースワーカーと査察指導員は全国で約14000人です。(役立たずのケースワーカーもいるのでしょうが。)彼らの業務を全て無くすか、人員を極限まで減らしてBIの財源にすればいいじゃないか、と考える人はいるでしょう。けれども、仮に年収500万円の公務員を14000人リストラしても、700億円程度浮くだけです。100兆円超のBIの財源とするには微々たるものです。

生活保護ケースワーカーに限らず医療や介護、福祉にはマンパワーが必須です。BIで毎月カネを配っても解決はできません。山崎さんはBIを「大きな福祉」と位置づけしますが、これは根本的に誤りです。BIは福祉をぶち壊して、皆は自己責任で生きることになります。

そもそも、日本には公務員が少なすぎるのです。全労働者の約6%が公務員ですが、欧州では20%〜30%が公務員の国があります。つまり「大きな福祉」とは、公務員を増やして国民のために働く人々を育成することです。

とは言え、山崎さんの言わんとすることも、理解はできます。岸田首相の「新しい資本主義」の中身は未だによくわかりません。今、政治が目指すべきは貧困の解消です。だから、山崎さんのBIを配って貧困をなくせないだろうかという提案は一理はあります。ただ、BIは新たなビジネスを産み、また新たな貧困を作り出すのです。まずは北欧諸国並みの「大きな政府、大きな福祉」を目指す政治家、政党が必要ですが、日本にはそんな政治家は皆無です。

#ベーシックインカム

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